美白化粧品の真実
あなたの“美白観”は間違っていませんか?
シミやくすみがなくなる=美白?
と思い込んでいた私は、その効果の期待が大きすぎたために、どれを使ってもどんなにいいと言われることをしても、シミが消えないとショックを受けていました。
今も美白の言葉には魅力を感じてしまうのですが、ここまでのお手入れを振りかえってみると、「美白」を意識せず美白を手に入れた気がします。
ここでは「美白作用」についてをお話したいと思います。
美白作用について
「美白作用」のある化粧品は、多くが「日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ」というキャッチフレーズなどで市販されています。(シミとソバカスの種類・お手入れ法)
シミ・ソバカスなどの色素異常症の原因は、紫外線、女性ホルモン、遺伝的要因、ストレス、生活環境など、さまざまな要素が複合的に誘因となって起こるものです。
それだけではなく、化粧品のチョイスの仕方や日々のお手入れの方法が間違っているために起こしてしまうトラブルもありますよね。
でも、本当のシミのメカニズムは完全には解明されていないのが現状です。
そこで、期待されているのが「美白作用」のある化粧品です。
「美白用薬剤の研究」
1.表皮内にあるメラニン色素を還元し、色を薄くしようとするもの
2.表皮内にあるメラニン色素の排泄を促進し、色をなくそうとするもの
3.色素の細胞内でのメラニン色素の生成を抑えようとするもの
4.メラニンの元になる酸化されたアミノ酸と反応してメラニン化を防ぐもの
5.アミノ酸を酸化してメラニンを作る酵素であるチロシナーゼの活性を弱めるもの
※チロシナーゼ…チロシナーゼとは、アミノ酸であるチロシンを酸化して、メラニンを作る酵素のこと
これらに関して、様々な研究がなされ臨床的検証の結果、さまざまな「美白作用」成分が出来てきました。
ここで、知っておいて欲しいことは、これらの作用があるものでも、
化粧品用薬剤として使うには、「作用は緩和であって安全性が高いこと」が基本条件になくてはいけないのです。
…と、作用が緩和?であるということは、そう、「美白作用」に依存してはいけないということだったのです。
それを知らなかったために、私はあれこれ試して無駄な時間と出費を重ねていました。
美白化粧品は無駄になってしまうの?
でも、依存はできないけれど相乗効果はあると思っています。
というのは、実際に「美白作用のある成分入りの化粧品」をお手入れにプラスすると、シミが薄くなるスピードが速まることもあるからなのです。
そこで「美白剤」の代表的な成分の特長について簡単にまとめてみます。
◆ビタミンC類(アスコルビン酸類)
このアスコルビン酸類は、還元作用を持つ薬剤として古くから用いられてきたものです。色素細胞内のメラニン合成を抑える作用と濃い酸化型メラニンを薄い色の還元型メラニンにするという作用を合わせ持っています。
ビタミンCそれ自体は、安全性は高いものの安定性が悪いので、いろいろな誘導体が合成されます。ビタミンCリン酸エステル(マグネシウム塩)がその代表格です。これを用いれば、生体内でビタミンCに戻ることが証明されているとのことです。
◆アルブチン
コケモモや梨、西洋梨などの植物の葉も含まれており、メラニンの合成を抑える作用があります。
ハイドロキノンの糖誘導体でチロシナーゼの活性化を疎外すると言われているものです。
※ハイドロキノン…イチゴ類、コーヒー、紅茶、麦芽、海洋生物の副産物、細菌類など。チロシナーゼの作用を抑制すると言われており、美容医が使用します。
外国には2%含有の液体やクリームが発売されていますが、発疹、かぶれなど副作用が強いため、日本の化粧品業界では使用されていないものです。
永らく輸入、製造ともに禁止されてきました。
ハイドロキノンは美白する効果がアルブチンやコウジ酸の100倍とも言われ、効果が高く夢の成分のように思われるものですが、シミ以外の部分の肌色が漂白されてしまったり白斑が出来たり、つけた部分に異常なカブレや乾燥を起こしたなど、弊害も報告されているので、使用には注意が必要なものです。
また、一度ハイドロキノンで白くなった部分は日光に当てないなど、その後のケアも難しいものですので、その点を理解の上使うようにしなくてはいけません。
特に輸入品の表示はわかりにくいため、知らずに使っていることもあるかも知れませんよ。
ハイドロキノンは医師の指導のもと、正しく使うようにしましょう。
◆コウジ酸
酒やみそ、しょうゆなどに使われるコウジの中に含まれている発酵代謝成分です。
メラニンを作り出す酵素であるチロシナーゼに働きかけて、メラニンの生成を抑える作用のあるものでした。
さらには、メラニンに直接働きかけて、できてしまったメラニンを白く還元する作用もあるということで、大人気の美白成分でしたが、2003年3月7日、厚生労働省はコウジ酸を使用した化粧品などは発ガンの恐れがあると、輸入や製造販売を自粛するように通達しました。
厚生労働省のこれまでの動物実験によれば、コウジ酸の発ガンの恐れを否定できなかったということだったからです。
コウジ酸は美白に効果があるとされ、化粧品メーカー12社も180を超える製品を販売していました。
もう製品の回収も済みましたが、眠っている化粧品の中にないかどうか確認しておいてください。間違っても使わないほうがいいです。
◆エイジツエキス
バラ科の植物「ノイバラ」あるいはその近縁植物の果実から抽出したエキスにはフラボノイド類、リコピン、ビタミンを含んでいる成分です。
◆キウイエキス
マタタビ科の植物「キーウィフルーツ(シナサルナシ)」の果実から抽出されたエキスには、ビタミンC、タンニン、蛋白分解酵素などを含んでいる成分です。シャレコローションには、このキウイエキスを配合しています!
◆グルタチオン
多くの生物が持っている重要な生理活性成分です。メラニン色素の合成を抑制する働きがあります。
美白作用のある成分は期待が大きいため、開発にも力が入ります。
チロシナーゼをどれだけ阻害するかだけで美白化粧品を語ることはできず、多くの美白化粧品がビタミンC誘導体との組み合わせで製品化をしていたり、特許を取得している状況をみると、まだまだ単一の成分だけの「美白作用」には、その効果を期待しない方が良さそうだとも考えられます。
よく広告で、とても目を引く広告に「この○×▲□成分○%配合の製品を使うと、メラニンを抑制したった1ヶ月でこんなに濃かったシミが、ここまで薄くなったんです!」みたいなものを見かけます。
なるほど、皮膚の断面図のようなものがあり、科学的な作用が説明されてあたかもその通りになりそうな気もします。
でも、私はたくさんのシミに悩んでいる人の使ってきた化粧品を聞いて来たから知っています。その単一成分だけでシミがなくなったというケースはほとんどありません。また、逆に別の肌トラブルを引き起こしたということもありました。